手にしたものを全て失い完膚なきまで打ちのめされた、そこが確かに始まりだった。静かに佇む優しく冷たい石の前、ひとつの誓いをひとりで立てた。まるで昨日のことのよう、瞼の裏で蘇るのは鮮明に色づく記憶の欠片。 あの日この目に映った空もこんな色をしていた気がする。抜け落ちそうに広い青空。それがこの目に眩しくて、直視するのも嫌だったのを思い出す。汚れすぎたこの身体、汚れてるなんて実感すらわくこともなく、オレは未だにのうのうと、こんなに綺麗なこの場所で汚れた空気を吐き出している。だけど、それでも。それでもオレはこの足で、歩いていこうとそう決めた。 なあ、お前はオレを信じるか? 自分自身に問いかけた、あの日のことを今も憶えている。答えなんて最初から決まっていて、それでも口に出さずにはいられなかった。なあ、お前はオレを信じるか? ・・・信じるより他に、道がないことも知っていたけれども。 示された道は最初からその1本のみ。オレにはそれ以外必要なかった。そう、どんな遠い道も、オレはこの足で歩いていかなければならない。 元に戻してみせるから。 あいつはぎゅうっと顔を歪めて、それでも笑って手を振った。そうやって見送ってくれたの顔を、心の隅に大事に抱えてトランク片手に歩き出す。 手にしたものを全て失い完膚なきまで打ちのめされた、そこが確かに始まりだった。誰もいないあの場所で、静かに佇む優しく冷たい石の前、ひとつの誓いをひとりで立てた。――元に戻してみせるから。元に、戻るから。きっと絶対、ふたりでそろって。 そう、オレは何があってもこの足で歩いていこうと決めたから。挫けても何度でも立ち上がる。もう一度目を開けて歩き出すから。どんなに遠い道だって、この足で歩いてみせるから。 それが例え、どんなに遠い道だとしても。 この胸の奥、心の片隅に。大切に仕舞い込んだあいつの笑顔さえあれば。 後ろだって振り返らずに、オレはひとりで歩いていける。そんな気がした。 BACK 20040718...エド。イメージとしてはLUNKHEADですファンのみなさまごめんなさい・・・!(ひい!) |